SBC湘南美容クリニック 医師
渡邉大洋(わたなべ ひろうみ)

「咳止めを飲んでいるのに、おさまってくれない」
「ずっと咳が続いているけれど、漢方薬なら改善できる?」
咳が止まらないと、夜も眠れず体力ばかりが消耗してしまい、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。市販の咳止め薬を飲んでもなかなか改善しない、あるいは体質的にあまり強い薬は使いたくないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そのような時に選択肢の一つとなるのが「漢方薬」です。漢方薬は、単に咳という症状を抑えるだけでなく、咳を引き起こしている体内のバランスの乱れを整えることで症状の改善が期待できます。
しかし、漢方薬は「咳」という症状だけでなく、その人の「体質」も加味して選ばなければ、十分な効果が得られないばかりか、副作用が出やすくなるなど逆効果になることもあります。最適な漢方薬を選ぶためには、まずはどのような種類があり、それぞれどんな体質に向いているのかを知っておくことが大切です。
この記事では、漢方医学の視点から見た咳の原因や、症状や体質に合わせた漢方薬の選び方を解説します。また、漢方を服用する際の注意点なども紹介していますので、咳でお困りの方はぜひ最後までお読みください。

漢方医学において、人間の身体は五臓六腑という機能的な単位で捉えられています。その中で、咳と特に深い関わりがあるのが「肺」「脾(ひ)」「腎(じん)」の三つです。
まず「肺」は呼吸をつかさどる機能全体を指し、外気と直接触れるため、乾燥や寒さなどの影響を受けやすい場所です。「脾」は消化吸収をつかさどる機能であり、ここで作られた栄養やエネルギーが肺を養います。
そして「腎」は生命力を蓄え、体内の水分代謝を調整する役割を担っています。これらが互いに影響し合い、バランスを崩すことで咳が発生すると考えられています。
また、漢方の基本概念である「気・血・水(き・けつ・すい)」の乱れも咳の大きな要因です。「気」は生命エネルギーであり、これがスムーズに巡らないと、咳となって逆流してしまいます。
「水」は体内の水分や体液を指し、これが滞ると「痰(たん)」となって咳を引き起こします。特に咳の治療においては、滞った「水」を排出し、「気」の巡りを正常に戻すことが重要視される傾向があります。
漢方では、病気を引き起こす原因を「邪(じゃ)」と呼びます。咳を引き起こす邪には主に4つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
自身の咳がどのタイプに当てはまるか、以下の表で確認してみましょう。
▼咳に関連する邪の種類と特徴
| 邪の種類 | 原因 | 咳の特徴 | その他の症状 |
| 燥邪(そうじゃ) | 空気の乾燥など | 空咳(乾いた咳)、こみ上げるような激しい咳 | 口や鼻の乾燥、痰が切れにくい、喉のイガイガ感 |
| 湿邪(しつじゃ) | 体内の水分停滞 | ゼロゼロと湿った咳、痰が絡む重い咳 | 多量の痰が出る、食欲不振、体が重だるい |
| 寒邪(かんじゃ) | 寒さや冷え | ゼーゼーという咳、冷えると悪化する咳 | 透明で水っぽい痰、くしゃみ、鼻水、寒気 |
| 熱邪(ねつじゃ) | 炎症や熱のこもり | 激しい咳、熱感を伴う咳 | 黄色く粘り気のある痰、喉の渇き、顔の赤み、発熱 |
このように、乾燥が原因なのか、余分な水分が原因なのかによって、選ぶべき漢方薬が大きく変わります。
漢方薬選びで、「邪(原因)」と同様に重要なのが「証(しょう)」という概念です。「証」とは、その人の体質や体力の状態のことを指します。
「証」の判断は、体格や顔色だけでなく、脈の強さ、お腹の弾力、舌の状態などから総合的に行われます。例えば、同じ「咳」という症状でも、体力がある「実証(じっしょう)」の人と、体力がない「虚証(きょしょう)」の人では、処方される漢方薬が全く異なります。
専門知識のない方が自己判断で漢方薬を選ぶと、自分の「証」に合わない薬を選んでしまいがちです。その結果、効果が得られないばかりか、副作用のリスクが高まるおそれもあります。
そのため、安全かつ効果的に利用するためには医師に相談し、自身の「邪」や「証」を見極めてもらうことをおすすめします。
参考:
https://kampo.med.u-tokai.ac.jp/pdf/da_7.pdf
https://kampo.med.u-tokai.ac.jp/pdf/acupuncture_16.pdf
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/about_kampo/?p=11760

では、咳に効く漢方薬を、症状別でご紹介します。
急に出る激しい咳や、ゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴)を伴う気管支喘息のような症状には、気管支を広げたり、炎症を抑えたりする働きのある漢方薬が選ばれます。
【麦門冬湯(ばくもんどうとう)】
空咳や、顔が赤くなるほど激しく咳き込む症状に適しています。痰が切れにくく、のどが乾燥して過敏になっている場合に効果的です。肺や喉に潤いを与えることで、乾燥によるしつこい咳を鎮める働きが期待できます。体力が中等度以下の方に向いています。
【柴朴湯(さいぼくとう)】
咳とともに、喉や食道に何かが詰まったような異物感(梅核気)がある場合に用いられます。精神的な不安感を伴う咳や、ストレスが関与している気管支喘息などに適しており、気の巡りを改善する効果が期待できます。体力が中等度で、ストレスを感じやすい方に向いています。
【小青竜湯(しょうせいりゅうとう)】
水っぽい透明な痰や鼻水が出る、くしゃみを連発するといった症状に適しています。余分な水分(水毒)を取り除く作用が期待でき、気管支炎だけでなく、アレルギー性鼻炎や花粉症を併発している場合によく選ばれます。体力が中等度またはやや虚弱で、冷えがある方に向いています。
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【麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)】
激しい咳き込みがあり、喉が渇いて汗が出るような症状に適しています。熱を冷まして気管支を広げる作用が強く、小児喘息にも用いられます。比較的体力があり、胃腸が丈夫な方に向いています。
【五虎湯(ごことう)】
麻杏甘石湯の処方をベースに、さらに消炎作用のある生薬を加えたものです。顔を赤くして激しく咳き込むような、強い喘息発作や気管支炎に適しています。体力が充実しており、熱感がある方に向いています。
【神秘湯(しんぴとう)】
呼吸困難を伴うような咳や、小児喘息、気管支炎に用いられます。気管支を広げて呼吸を楽にする作用とともに、精神的な緊張を和らげる働きも期待できます。体力が中等度前後の方に向いています。
【苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)】
薄い水様の痰が多く出る咳や、冷えによる喘鳴(ゼーゼーする音)を伴う場合に適しています。体を温めて余分な水分を排出させる効果が期待できます。体力がなく、冷え性で貧血気味の虚弱なタイプの方に向いています。
風邪の後の咳がいつまでも続く場合や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のように長期的に肺の機能が低下している場合には、肺の熱を冷ましたり、身体を内側から潤したりする漢方薬が適しています。
【清肺湯(せいはいとう)】
黄色く粘り気のある痰が多く出る、長引く咳に適しています。肺の熱を冷まし、気管支の炎症を鎮めると同時に、痰を切りやすくする効果が期待できます。喫煙歴がある方や、排気ガスの多い環境にいる方など、汚れや炎症が慢性化している場合にも用いられます。
【滋陰降火湯(じいんこうかとう)】
喉に潤いがなく、痰が出にくい乾いた咳が続く場合に適しています。皮膚の乾燥を伴うこともあります。身体に潤いを与える(滋陰)とともに、炎症による熱を冷ます(降火)ことで、空咳を鎮める効果が期待できます。
【滋陰至宝湯(じいんしほうとう)】
微熱や寝汗を伴う咳、食欲不振があるような慢性の咳に適しています。滋陰降火湯よりもさらに体力が低下している場合に用いられ、咳と痰を鎮める効果が期待できます。高齢者や病後で体力が落ちている方の長引く咳にも向いています。

漢方薬の効果を最大限に引き出し、安全に使用するために知っておくべきポイントを解説します。
漢方薬の多くは、「食前」または「食間」に服用することが推奨されています。
「食前」とは食事の約30分前のこと、「食間」とは食事と食事の間(例:朝食と昼食の間)、つまり食後約2時間を指します。漢方薬は胃の中に食べ物が入っていない空腹時に服用することで、有効成分の吸収が良くなると考えられているからです。
ただし、胃腸が弱く、空腹時に飲むと胃がムカムカするような場合は、医師や薬剤師の指示のもと、食後の服用に変更することもあります。
漢方薬の効果の現れ方は、処方や症状によって異なります。
麻杏甘石湯のように比較的早く効果を感じられるものもありますが、漢方薬は基本的に、飲めば瞬時に咳が止まるという即効性があるものではありません。身体のバランスを整え、徐々に喉を潤したり、痰を減らしたりしていくような効き方をします。
そのため、まずは1週間程度を目安に服用を続けてみてください。もし1週間服用しても症状の改善が見られない、あるいは悪化するような場合は、その漢方薬が体質に合っていない可能性がありますので、医師に相談することをおすすめします。
市販薬を用いる場合は、添付文書の「〇日間服用しても症状がよくならない場合は受診すること」などの注意書きも必ず確認しましょう。
「漢方薬は副作用がないだろう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、医薬品である以上、副作用のリスクは存在します。特に注意が必要な成分について表にまとめました。
| 注意すべき生薬成分 | 代表的な副作用 | 注意が必要な人 |
| 麻黄(まおう) | 動悸、血圧上昇、不眠、発汗過多、排尿障害 | 高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、高齢者、前立腺肥大のある人 |
| 甘草(かんぞう) | 偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇)、ミオパチー(手足の脱力感、筋肉痛) | 長期間服用する人、複数の漢方薬や風邪薬を併用する人 |
麻黄は気管支を広げる作用がありますが、交感神経を刺激するため、心臓や血管に負担をかけることがあります。甘草は多くの漢方薬に含まれていますが、重複して摂取することで体内のカリウム値が下がり、むくみや筋肉の異常を引き起こす「偽アルドステロン症」のリスクがあります。
上記のような副作用が出たら、服用を中止して医療機関を受診しましょう。
参考:
https://www.kracie.co.jp/ph/k-kampo/teach/detail_6.html
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1019-4d9.pdf
https://medical.tsumura.co.jp/products/024/pdf/024-tenbun.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/61/6/61_6_828/_pdf/-char/ja

漢方薬は咳の症状緩和に役立ちますが、自己判断で服用を続ける前に、まずは根本的な原因を知ることが何よりも大切です。
長引く咳の背景には、単なる風邪ではなく、治療が必要な病気が隠れていることがあります。
例えば
などです。あるいは結核や肺がんといった重篤な疾患である可能性もゼロではありません。
医療機関でレントゲンや血液検査などを行い、原因を特定することは非常に重要です。原因が明確になって初めて、その病態に合わせた最適な漢方薬を選ぶことができます。
また、細菌感染が原因であれば抗生物質が必要になるなど、西洋医学的なアプローチが必要な場合もあります。
漢方薬は一般的な咳止めの西洋薬に比べると、「体全体の調子を整えながら症状を和らげる」「眠気が出にくい」といったメリットが挙げられますが、すべての咳に対して万能というわけではありません。
激しい咳発作で呼吸が困難な場合や、細菌感染による高熱がある場合などは、速効性のある気管支拡張薬や鎮咳薬、抗生物質といった西洋薬を使用した方が、身体への負担が少なく、早く回復するケースも多々あります。
「漢方薬だけで治したい」と固執せず、症状の程度や原因に応じて、西洋薬と漢方薬を使い分けたり、医師の判断のもとで併用したりするなど、柔軟な選択肢を持つことが大切です。
原因を突き止め、最適な処方をしてもらうためにも、一度医師に相談することをおすすめします。
参考:
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/body/?p=8647
https://www.kracie.co.jp/ph/k-kampo/teach/detail_6.html

前述したように、漢方薬は自己判断で選ぶことが難しいという特徴があります。また、長引く咳の原因がわからない場合は、それを突き止めることも大切です。そのためには、医師の診察を受ける必要がありますが、「通院する時間がない」「通える範囲に病院がない」という方もいらっしゃるでしょう。
オンライン診療サービス「med.」なら、オンラインで診察から処方まで完了するので、手間がかからず忙しい方にもおすすめです。
med.の特徴について詳しく解説します。
med.の利用の流れは、以下の通りです。
このように自宅ですべて完結できるため、移動する必要がなく、待ち時間も最小限にできます。また、人に見られる可能性もないため、プライバシーに関する心配もありません。
なお、お薬は決済完了後すぐにヤマト運輸で発送手続きが行われます。当日15時までに決済が完了している場合は即日発送、15時以降に決済した場合は翌日発送です。(※ご注文受付状況、天候や年末年始などの配達状況により遅れが生じる場合もございます)
med.では、診察料や処方料がかからず、薬代のみで処方薬を購入できます(※1万円以下の場合は送料がかかります)。また、通院する必要がないため、交通費も必要ありません。

med.は「SBC湘南美容クリニック」と提携しており、医師が診察し、最適な処方を提案してくれます。また、オンラインでは不安な場合や、医師が必要だと判断した場合は、対面診察も受けられます。
また、土日祝日も診察が受けられ、9時~23時まで受診できるため、忙しい方も無理なく診察を受けられます。

なお、med.では以下のように咳に効果が期待できる漢方薬や西洋薬を複数取り揃えております。
咳の原因がわからない、どの種類が自分に合いそうかわからないといった場合も、医師にご相談ください。
漢方医学では、咳を肺だけでなく、消化器や生命力、そして気・血・水のバランスの乱れとして捉えています。
咳に効く漢方薬には、乾燥を潤す「麦門冬湯」、アレルギー症状を抑える「小青竜湯」、長引く咳や痰に対応する「清肺湯」など多くの種類があります。しかし、これらを適切に選ぶためには、ご自身の体質である「証」を正しく理解することが欠かせません。
まずは医療機関で咳の原因を特定し、専門家のアドバイスを受けながら、自身の症状と体質に合う漢方薬を見つけてください。適切な漢方薬を選ぶことができれば、つらい咳を鎮める効果が期待できるだけでなく、生活の質を向上させる心強い味方となってくれるはずです。
SBC湘南美容クリニック 医師
渡邉大洋(わたなべ ひろうみ)
治療等の内容/治療等の期間及び費用
・小青竜湯を服用する気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒治療薬です。(1か月 ¥7,920〜)
・モンテルカストを服用する気管支喘息治療薬です。(1か月 ¥3,278〜)
・プロカテロール塩酸塩水和物を服用する気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎治療薬です。(10錠 ¥980)
・ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フルチカゾンフランカルボン酸エステルを使用する気管支喘息治療薬です。(30日 ¥9,500)
・サルメテロールキシナホ酸塩、フルチカゾンプロピオン酸エステルを使用する気管支喘息治療薬です。(30日 ¥7,500)
・ツロブテロール塩酸塩を使用する気管支喘息治療薬です。(7枚 ¥2,200)
・ブデソニド、ホルモテロールフ マル酸塩水和物を使用する気管支喘息治療薬です。(1本 ¥1,980)
副作用
・小青竜湯の主な副作用として、発疹、発赤、かゆみ、不眠、発汗過多、頻脈、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、排尿障害などが報告されています。
・モンテルカストの主な副作用として、下痢、腹痛、吐き気、胸やけ、頭痛、肝機能異常、口渇、傾眠、胃不快感、倦怠感、発疹、かゆみなどが報告されています。
・メプチン錠の主な副作用として、動機、頻脈、手の震え、頭痛、めまい、吐き気などが報告されています。
・レルベアの主な副作用として、嗄声、口腔カンジタなどが報告されています。
・アドエア50エアゾール120吸入の主な副作用として、嗄声、口腔カンジタなどが報告されています。
・ツロブテロールテープの主な副作用として、貼った場所の紅斑・かゆみ、接触性皮膚炎、発疹、かゆみ、じんましん、振戦(手足のふるえ)、動悸などが報告されています。
・ブデホル吸入粉末剤の主な副作用として、嗄声、口腔カンジタなどが報告されています。
お問い合わせ先
お問い合わせはmed.カスタマーサポートまで。