SBC湘南美容クリニック 医師
渡邉大洋(わたなべ ひろうみ)

「生理中は痛みで動くのがつらい」
「生理前になると憂鬱になるので、どうにかしたい」
毎月訪れる生理期間、下腹部の痛みや腰の重だるさに悩まされている方は少なくありません。痛み止めが手放せなかったり、痛みが引かないという方も多いでしょう。
生理痛は、子宮が収縮する際の痛みだけでなく、冷えやストレス、体質的な要因が影響することもあります。一般的な鎮痛剤は痛みを抑えるのに有効ですが、「生理に伴う他の不調も一緒にケアしたい」と考える場合は、漢方薬も検討してみましょう。
しかし、漢方薬は種類が多く、自分の症状や体質に合ったものを選ぶ必要があるため、どの種類がどのような効果があるのかを知っておくことが重要です。
本記事では、生理痛が起こるメカニズムや漢方医学から見た原因、そして症状や体質に合わせた漢方薬の選び方について詳しく解説します。生理痛を改善したい方は、ぜひ最後までお読みください。

生理痛の主な原因は、「プロスタグランジン」という物質の過剰分泌にあります。生理が始まると、子宮内膜からこの物質が分泌され、経血を体外に押し出すために子宮を収縮させます。
この収縮が強すぎると、下腹部にキリキリとした痛みを引き起こすのです。さらに、プロスタグランジンには血管を収縮させる作用もあるため、腰痛やだるさの原因にもなります。
また、若い女性や出産経験のない女性の場合、子宮口が未発達であるために経血がスムーズに排出されず、痛みが増強されることがあります。その他にも、冷えによる血行不良や、精神的なストレスによる自律神経の乱れなども、痛みを悪化させる大きな要因となります。
参考:
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/10_gekkeitsu/
https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/qa/menstruation_Q32.html

漢方医学では、生理痛の原因を大きく「滞りによる痛み(実証)」と「栄養不足による痛み(虚証)」の2つに分けて考えます。
「実証(じっしょう)」とは、体力が充実しており、体内に余分なものが滞っている状態を指します。一方、「虚証(きょしょう)」とは、体力が低下しており、体に必要な気や血などのエネルギーが不足している状態のことです。
これらの体質の違いや、痛みの時期・性質によって、体の中で何が起こっているのかを見てみましょう。
不通則痛は「気・血・水」の流れが阻害されて起こる痛みで、体力が比較的ある「実証」タイプの方に多く見られます。生理前や生理の前半に痛みが強く出る傾向があります。
代表的な状態として「気滞血瘀(きたいけつお)」が挙げられます。ストレスなどが原因で気の巡りが悪化し、それに伴って血の流れも滞ってしまった状態です。
お腹や胸が張るような痛みがあり、生理前にイライラしたり情緒不安定になったりするPMS(月経前症候群)の症状を伴うのが特徴です。
また、「血瘀(けつお)」は、漢方医学における「血行の停滞」を指し、生理痛の要因のひとつです。冷えやストレス、長期的な不調により血の巡りが悪くなると、子宮周囲に鬱血が生じ、刺すような痛みや、経血に黒っぽい塊が混じるといった症状が現れます。
経血にレバー状の凝血が混じるのは血瘀の典型とされていますが、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患でも見られるため、症状が続く場合は医療機関で相談することが重要です。
不栄則痛は気血や潤いが不足し、子宮に十分な栄養が行き渡らないために起こる痛みです。体力が低下している「虚証」タイプの方に多く、生理の後半から終了後にかけて痛むことが多いのが特徴です。
「気血両虚(きけつりょうきょ)」は、生命エネルギーである「気」と、栄養である「血」の両方が不足している状態です。生理後半にシクシクとした鈍痛が続き、お腹を手で揉んだり温めたりすると痛みが和らぎます。強い疲労感やだるさを伴うことも少なくありません。
また、「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」は、加齢や過労によって、漢方で言う「肝」と「腎」の陰液(潤いや生命力)が消耗した状態を指します。生理後に腰や下腹部が重だるく痛み、ほてりや目の疲れ、めまいなどを伴うことがあります。
気血の直接的な異常以外にも、外部環境や生活習慣が原因となることがあります。
「寒凝(かんぎょう)」は、寒邪(冷え)が体内に侵入し、血を凝固させてしまう状態です。冷房や寒さによって痛みが激化し、カイロやお風呂で温めると痛みが劇的に和らぐのが最大の特徴です。
「湿熱(しつねつ)」は、脂っこい食事やアルコールの摂りすぎなどで、体内に余分な水分と熱がこもってしまった状態です。下腹部に灼熱感のある痛みを感じたり、粘り気のある黄色っぽいおりものが出たりすることがあります。
参考:
https://women-wellness.metro.tokyo.lg.jp/consultation/01/
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/koui/201607/547464.html
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/koui/201607/547464.html

生理痛の治療において、鎮痛剤と漢方薬はそれぞれ異なるアプローチをとります。
ロキソプロフェンなどの鎮痛剤(NSAIDs)は、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの産生を抑える働きがあります。痛みの元を直接ブロックするため速効性があり、今ある痛みをすぐに鎮めたいという場合に適した「対症療法」です。
一方、漢方薬は、痛みを引き起こしている体のバランスの乱れを整えることを目的としています。体を温めて冷えを改善したり、血の巡りをスムーズにして鬱血を取り除いたりすることで、「全身的なアプローチ」を行います。
漢方薬を取り入れることには、鎮痛剤にはない独自のメリットがあります。
まず、生理痛そのものだけでなく、それに伴う様々な不調をまとめてケアできる可能性があります。漢方薬は全身の状態を整えるため、冷え症、むくみ、PMS(イライラや落ち込み)、肌荒れ、頭痛など、生理期間中に起こりやすい複数のトラブルに同時に働きかける効果が期待できます。
また、眠くなりにくい処方が多い点です。鎮痛剤の中には眠気を催す成分が含まれているものもありますが、漢方薬の多くは眠くなる成分を含んでいません。
さらに、漢方薬を選ぶ過程で自分の体質を理解することは、生理期間以外の健康管理や生活習慣の見直しにも役立つでしょう。

体質や痛みの特徴に合わせて、適した漢方薬を選びましょう。ここでは代表的な処方をご紹介します。
当帰芍薬散は、冷えによって悪化する生理痛や、生理中のむくみ、貧血傾向にお悩みの方に適しています。
血を補い巡りを良くする「当帰(トウキ)」や「川芎(センキュウ)」などの生薬により、体を内側から温めて冷えによる痛みを和らげる効果や、「沢瀉(タクシャ)」や「茯苓(ブクリョウ)」の利尿作用により、体内の余分な水分を排出してむくみや重だるさを改善する効果が期待できます。
さらに、不足しがちな「血(栄養)」を補うことで、生理後半のシクシクとした痛みや、貧血による立ちくらみなどの不調にも効果があるとされています。
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滞った「血」を巡らせる代表的な処方です。体力は中程度以上で、のぼせや赤ら顔があるものの足元は冷える、肩こりがひどいといった方に適しています。
生理痛が強く、経血にレバー状の塊が混じることがある場合や、打ち身などで青あざができやすい方に向いています。
桂枝茯苓丸に、肌トラブルの改善効果などが期待できる生薬「薏苡仁(ヨクイニン)」をプラスした処方です。 血行を改善しながら、ニキビやシミなどの肌悩みから生理痛などの婦人科系の悩みまで、さまざまな不調をケアしたい方におすすめです。 桂枝茯苓丸加ヨクイニン(けいしぶくりょうがんかよくいにん)の購入はこちら
滞った「気」の巡りを良くし、精神的な緊張を解きほぐすことで、ストレスや自律神経の乱れからくる生理痛やPMS(月経前症候群)を和らげる働きが期待できる処方です。
体力は中程度以上で、肩こり、めまい、のぼせなどがあり、特に生理前にイライラしたり、落ち込んだりと精神的に不安定になりやすい方に適していると言われています。生理周期が乱れがちな方にも用いられます。
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「血」の滞りを取り除き、血行を良くするとともに、便通の改善が期待できる処方です。体力があり、がっちりとした体格で、のぼせや便秘傾向が強い方に適していると言われています。
生理痛が激しく、生理前に精神的な興奮やイライラが強くなる方に向いていますが、下剤作用のある生薬(ダイオウ)が含まれているため、胃腸が弱い方や下痢しやすい方は注意が必要です。
漢方薬を選ぶ際は、「体力(虚実)」「冷えの有無」「痛みの性質」の3点をチェックすることが大切です。
例えば、体力がない虚証の方が、体力がある人向けの「桃核承気湯」のような強い薬を使うと、胃腸を痛めたり体調を崩したりする原因になります。逆に、体力がある方が虚証向けの薬を使っても、十分な効果が得られないことがあります。
自分の体質に合ったものを選ぶことで、効果を最大限に引き出すことができるため、まずは医師にどの漢方薬が適しているかを相談することをおすすめします。
参考:
https://medical.tsumura.co.jp/products/023/pdf/023-tenbun.pdf
https://medical.tsumura.co.jp/products/025/pdf/025-tenbun.pdf
https://medical.tsumura.co.jp/products/125/pdf/125-tenbun.pdf

漢方薬の力だけでなく、日々の生活習慣を見直すことで、生理痛をより緩和しやすくしましょう。具体的にどのような生活習慣を見直すべきかについて解説します。
生理中は血液が失われるため、血の材料となる栄養素を積極的に摂ることが大切です。鉄分や亜鉛、血を作るのを助けるビタミンB群などを意識して食事に取り入れましょう。
一方で、体を冷やす原因となる冷たい飲み物やアイスクリーム、過度な砂糖の摂取は控えることをおすすめします。また、カフェインの摂りすぎは血管を収縮させる可能性があるため、生理期間中はノンカフェインのハーブティーなどを選ぶとよいでしょう。
生理痛の緩和には、骨盤まわりの血行を良くして、子宮の収縮をスムーズにすることが重要です。カイロや腹巻きを使って、「仙骨(お尻の割れ目の少し上にある三角形の骨)」や「丹田(おへその指3〜4本分下)」を温めると効果的です。
また、入浴はシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、全身浴をしましょう。体が温まるだけでなく、リラックス効果によって自律神経も整います。
生理痛がある際に激しい運動は必要ありませんが、軽いストレッチやヨガなどで体を動かし、骨盤周りの筋肉をほぐすと血流が良くなり、骨盤内のうっ血が解消されて痛みが和らぎやすくなります。
また、ストレスは「気」を滞らせて痛みを増幅させる大きな要因です。アロマを焚いたり、深呼吸をしたりして、自律神経を整えるリラックスタイムを意識的に持ちましょう。
そして何より、生理中は無理をせず、十分な睡眠時間を確保して体を休めることが大切です。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000050030.html

生理痛は多くの女性が経験するものですが、「いつものことだから」と我慢しすぎるのは危険です。生理痛が年々ひどくなっている場合や、痛み止めを飲んでも効かない場合は、「月経困難症」の可能性があります。
その中でも、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症といった子宮や卵巣の病気が原因で起こるものを「器質性月経困難症」と呼びます。これらは放置すると不妊の原因になることもあるため、早期発見・治療が重要です。
以下のような症状がある場合は、漢方薬や市販薬で様子を見るのではなく、まずは婦人科を受診して検査を受けることをおすすめします。

漢方薬以外のアプローチとして、低用量ピルの服用も有効な選択肢の一つです。生理痛を改善したいとお考えの方は、ピルも検討することをおすすめします。
では、ピルについて解説します。
ピルには排卵を抑制する働きがあります。排卵が止まると、子宮内膜が厚くなるのが抑えられます。その結果、生理時の経血量が減るとともに、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの産生量も大幅に減少するため、生理痛が軽くなります。
ピルは単なる「避妊薬」というイメージが強いかもしれませんが、現在では月経困難症の治療薬として広く使われています。
それぞれの特徴に合わせて使い分けることが大切です。
ピルは「生理痛や出血量をコントロールしたい」「生理不順を治したい」「避妊もしたい」という場合に適しています。一方、漢方は「ホルモン剤を飲むのに抵抗がある」「冷えやむくみなど、生理以外の不調も一緒に治したい」「妊娠を希望している」という場合に適しています。
また、医師の判断によりますが、ピルで痛みや周期をコントロールしながら、漢方薬で冷えやむくみといった体質的な悩みをケアするという併用も可能です。
ピルに関しては、下記記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ピルとは?仕組み・種類や副作用について徹底解説

前述したように、漢方薬は自分に適したものを選ぶことが難しいため、医師に相談することをおすすめします。しかし、「受診する暇がない」「近くに漢方を処方してくれるクリニックがない」といった方もいらっしゃるでしょう。
オンライン診療サービス「med.」なら、オンラインで診察から処方まで完了するので、手間がかからず忙しい方にもおすすめです。
med.の特徴について詳しく解説します。
med.の利用の流れは、以下の通りです。
このように自宅ですべて完結できるため、移動する必要がなく、待ち時間も最小限にできます。また、人に見られる可能性もないため、プライバシーに関する心配もありません。
なお、お薬は決済完了後すぐにヤマト運輸で発送手続きが行われます。当日15時までに決済が完了している場合は即日発送、15時以降に決済した場合は翌日発送です。(※ご注文受付状況、天候や年末年始などの配達状況により遅れが生じる場合もございます)
med.では、診察料や処方料がかからず、薬代のみで処方薬を購入できます。(※1万円以下の場合は送料がかかります)また、通院する必要がないため、交通費も必要ありません。

med.は「SBC湘南美容クリニック」と提携しており、医師が診察し、最適な処方を提案してくれます。また、オンラインでは不安な場合や、医師が必要だと判断した場合は、対面診察も受けられます。
また、土日祝日も診察を受けられ、9時~23時まで受診できるため、忙しい方も無理なく診察を受けられます。

なお、med.では生理痛に効果が期待できる漢方薬を取り揃えております。
また、ピルのご提案も可能ですので、どちらを使用すべきかお悩みの方も医師にご相談ください。
生理痛は鎮痛剤で痛みを抑えるだけでなく、漢方薬を取り入れて体の内側からバランスを整えることで、痛みを軽減する効果が期待できます。ただし漢方薬には多くの種類があるため、症状や体質に適したものを選ぶことが重要です。
また、痛みがひどい場合は我慢せず、ピルを検討することもおすすめします。自身の最適なケア方法を見つけて、生理期間を穏やかに過ごせるようにしましょう。
SBC湘南美容クリニック 医師
渡邉大洋(わたなべ ひろうみ)