SBC湘南美容クリニック 医師
渡邉大洋(わたなべ ひろうみ)

ワキガを誰かから指摘されたり、ふとした瞬間に「もしかして自分のニオイかも?」と不安になってしまったりすることもあるでしょう。制汗剤を使ってもなかなかニオイが消えず、「なぜ自分だけ?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ワキガは、生まれ持った体質やホルモンの変化、生活習慣などが関係しています。自分に合った適切な対策を見つけるためには、何が原因なのかを知ることが重要です。
この記事では、ワキガの原因や多汗症との違い、対策や治療方法について解説します。ワキガかも…とお悩みの方はぜひ最後までお読みください。

私たちの体には、汗を出す「汗腺」が2種類あります。
一つは全身に分布し、体温調節のために水分(無臭)を出す「エクリン腺」で、もう一つが、ワキガの原因になる汗を出す「アポクリン腺」です。アポクリン腺は全身にあるわけではなく、脇の下、耳の中、陰部、乳輪など限られた部位にのみ存在しています。
アポクリン腺から出る汗には、水分以外にタンパク質、脂質、糖質、アンモニアなどが含まれており、少し粘り気があるのが特徴です。
実は、分泌された直後の汗自体は「無臭」です。しかし、皮膚の表面に常在している菌が、汗に含まれるタンパク質や脂質をエサにして分解する過程で、鼻を刺すような独特のニオイ物質(脂肪酸など)が発生します。これがワキガの正体です。
発症は思春期(第二次性徴期)に多く見られるとされます。
通常は思春期に発症し、年齢とともに落ち着いていく傾向がありますが、中年以降は加齢臭など別の体臭要因が重なり、ニオイが気になりやすくなる場合があります。

ここからは、ワキガになる原因について詳しく解説します。
まず、ワキガの遺伝について詳しく見てみましょう。
ワキガ体質は、「優性遺伝(顕性遺伝)」という性質を持っています。これは、両親のどちらか一方でもその遺伝子を持っていれば、子に遺伝する可能性が高いことを意味します。
そのため、家族にワキガ体質の方がいる場合、ご自身もその体質を受け継いでいる可能性が高いでしょう。
自分がワキガ体質かどうかを判断する有力な手がかりとして、「耳垢の状態」が挙げられます。耳の中(外耳道)にもアポクリン腺が存在しているため、この汗腺の活動量は耳垢の湿り具合に直結します。
日本人の多くはカサカサした乾燥した耳垢(乾性)ですが、ワキガ体質の方はキャラメル状に湿った耳垢(湿性/軟耳垢)であるケースがよく見られます。これは、「ABCC11」という遺伝子が、アポクリン腺の活動量や耳垢のタイプを決定しているためです。
そのため、耳垢が常に湿っている場合は、脇のアポクリン腺も多く、活発である可能性が高いと言えます。
参考:https://projectdb.jst.go.jp/grant/JST-PROJECT-08001337/

ワキガのニオイの強さには、性ホルモンも関係します。どのように性ホルモンが関係するかについて詳しく見てみましょう。
アポクリン腺は生まれた時から存在していますが、幼少期はまだ未発達で活動していません。第二次性徴を迎える思春期(中学生〜高校生頃)になると、性ホルモンの分泌が活発になり、それに伴ってアポクリン腺が一気に発達・活動を開始します。
女性の場合、月経周期や妊娠・出産といったライフイベントによるホルモンバランスの変化も、ニオイの強さに影響を与える可能性があると言われています。
性周期とも関係があり、生理中はアポクリン腺の働きが活発になり、一時的にニオイが強くなるケースもあります。一方で、排卵期には逆にニオイが弱まるという報告もあり、ホルモンの変動によってニオイの感じ方や強さが変わることも考えられます。
また、更年期にはホルモンバランスの乱れから多汗になりやすく、それがニオイを拡散させる要因になることもあります。
参考:https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/2006382/files/A37647_summary.pdf

ワキガは遺伝的な体質といわれていますが、後天的な生活習慣やストレスによって、そのニオイが強まったり弱まったりすることがあります。
これらの後天的な要因について詳しく見てみましょう。
食生活の変化は体臭に影響を与えるといわれています。特に、高カロリー・高脂肪な食事には注意が必要です。
肉類やバター、チーズなどに含まれる動物性タンパク質や脂質を摂りすぎると、アポクリン腺が刺激されやすくなるといわれています。また、こうした食事によって皮下脂肪が増加したり、血中脂質が上昇したりすることに伴い、アポクリン汗に含まれる栄養分(ニオイの元)が増加する可能性もあります。
アポクリン腺からの分泌物に菌のエサとなる成分が増えると、常在菌が繁殖しやすくなり、結果としてニオイが強くなる傾向にあるとも言われています。
緊張した時や不安を感じた時に、脇の下にジワッと汗をかいた経験がある方も多いでしょう。これは「精神性発汗」と呼ばれ、暑い時の汗(温熱性発汗)とは性質が異なります。
ストレスによって交感神経が刺激されると、アポクリン腺から濃度の高い汗が一気に出やすくなると言われています。また、直接的なワキガではありませんが、過度なストレスや疲労が蓄積すると、血液中のアンモニア濃度が上昇し、それが皮膚ガスとして放出される「疲労臭」が混ざることもあるようです。
嗜好品もニオイを悪化させる要因になると言われています。
まず、タバコに含まれるニコチンは交感神経を刺激し、アポクリン腺の活動を活発にしてしまう可能性があります。
また、アルコールは体内で分解される際、「アセトアルデヒド」という物質が発生します。これが血液に乗って全身を巡り、汗や呼気として排出されることで、独特の不快なニオイを発することがあるようです。
ワキガ体質の方が過度な飲酒や喫煙をすると、本来のニオイにこれらの要素が加わり、よりニオイが強く感じられることがあるため、控えることをおすすめします。
参考:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/48/6/48_410/_pdf
https://www.pmda.go.jp/medical_devices/2018/M20180611001/340679000_23000BZX00161000_C100_1.pdf

「ワキガ」と「多汗症」は、同じ汗に関連する状態ですが、別物です。
前述したように、ワキガ(腋臭症)の原因となるのは「アポクリン腺」です。主な症状は独特の強いニオイで、汗の質は少し粘り気があり、白っぽく濁ることもあります。衣類に付着すると、黄ばみの原因になるのが特徴です。
一方、多汗症の原因となるのは「エクリン腺」です。こちらはニオイよりも「汗の量が非常に多い」ことが主な症状です。汗の質はサラサラとしていて無色透明で、衣類についても濡れて汗ジミにはなりますが、黄ばみにはなりにくい傾向があります。
つまり、ワキガは「汗の質とニオイ」の問題、多汗症は「汗の量」の問題です。
このように、原因が異なるものの、ワキガ体質の方が多汗症を併発しているケースも見られます。その場合、多量の汗がワキガのニオイを周囲に拡散させてしまいます。
「ワキガの人と服を貸し借りするとうつる」という噂を聞くことがありますが、医学的な根拠はありません。ワキガはあくまで遺伝やアポクリン腺の数という「体質」によるものだからです。
服の貸し借りや接触によって、ニオイの原因物質や菌が一時的に付着して臭うことはあっても、それによってアポクリン腺が増えたり、体質そのものが変化してワキガになったりすることはありません。

では、ワキガにはどのように対処すればいいのでしょうか。セルフケアの方法や治療について見てみましょう。
ワキガのニオイを軽減するためのセルフケアには、以下のような方法があります。
| 項目 | 方法 |
| 食生活 | 動物性タンパク質や脂質の多い食事を減らし、バランスの取れた食事を意識する |
| 運動 | 汗をかく習慣によって汗腺の機能を正常に保ち、老廃物の排出をスムーズにする |
| ストレスケア | 発汗の引き金となる可能性があるストレスを減らすように、リラックス方法を見つける |
| 入浴 | 殺菌成分(イソプロピルメチルフェノールなど)が配合された薬用石鹸を使用し、たっぷりの泡で優しく手洗いする |
| 衣類 | 通気性のいい服や天然素材のインナーを選ぶ |
| 汗拭き |
・汗は汗拭きシートやタオルでこまめに拭く
・医療用のアルコール綿や清浄綿を使用することで、皮膚表面の細菌の菌数を一時的に減らせる ※肌が弱い場合には肌荒れの原因になるため使用は避ける |
| 制汗剤・デオドラント剤 | 汗を拭き取って肌を清潔にし、乾燥させた状態で塗る |
| 洗濯 | ニオイ戻りを防ぐために、酸素系漂白剤を使用した「つけ置き洗い」や、熱に強い素材なら煮沸消毒する |
このようなことを意識することで、ニオイの軽減につながります。
セルフケアで十分に改善しない場合や、根本的に解決したい場合は、医療機関での治療も選択肢の一つとなります。
| 治療法 | 内容・特徴 |
| 外用薬 | 塩化アルミニウム液や、多汗症の治療薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプなど)を用いて発汗を抑える |
| 内服薬・漢方薬 | プロバンサインなどの多汗症治療薬や、多汗傾向がある場合は 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬で体質改善を図る |
| ボトックス注射 |
注射で汗を抑えてニオイを軽減する(効果は数ヶ月)
※効果は個人差あり |
| 手術・施術 | 剪除法(切開手術)やミラドライ(マイクロ波)でアポクリン腺を除去・破壊する |
※リンクがある薬や漢方薬は、med.でご購入いただけます。
ワキガのセルフケアや治療方法については、下記記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ワキガ対策完全ガイド|セルフケアや治療方法・漢方まで徹底解説
参考:
https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/nioi/bodyodor/
https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/nioi/yellowing/
https://www.nms.ac.jp/var/rev0/0058/1839/12133133737.pdf

「病院に行きたいけれど、忙しくて時間がない」「対面でワキガや多汗症の相談をするのは恥ずかしい」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
オンライン診療サービス「med.」なら、オンラインで診察から処方まで完了するので、手間がかからず忙しい方にもおすすめです。
med.の特徴について詳しく解説します。
med.の利用の流れは、以下の通りです。
このように自宅ですべて完結できるため、移動する必要がなく、待ち時間も最小限にできます。また、人に見られる可能性もないため、プライバシーに関する心配もありません。
なお、お薬は決済完了後すぐにヤマト運輸で発送手続きが行われます。当日15時までに決済が完了している場合は即日発送、15時以降に決済した場合は翌日発送です。(※ご注文受付状況、天候や年末年始などの配達状況により遅れが生じる場合もございます)
med.では、診察料や処方料がかからず、薬代のみで処方薬を購入できます。(※1万円以下の場合は送料がかかります)また、通院する必要がないため、交通費も必要ありません。

med.は「SBC湘南美容クリニック」と提携しており、医師が診察し、最適な処方を提案してくれます。また、オンラインでは不安な場合や、医師が必要だと判断した場合は、対面診察も受けられます。
また、土日祝日も診察を受けられ、9時~23時まで受診できるため、忙しい方も無理なく診察を受けられます。

なお、med.ではワキガや多汗症の軽減効果が期待できる処方薬を取り揃えております。
ワキガの改善のためにどの薬を使用すべきかお悩みの場合も、医師にご相談ください。
ワキガの原因は、生まれ持った「アポクリン腺」の働きと、皮膚の常在菌による分解活動にあります。これは遺伝的な要素が強く、思春期のホルモン変化によって発症することが一般的です。
体質そのものを変えることは難しいかもしれませんが、食生活などの生活習慣を見直したり、適切な治療を取り入れたりすることで、ニオイはコントロールできます。「遺伝だから仕方がない」と諦めず、正しい知識を持って、自分に合ったケアを検討してみましょう。
SBC湘南美容クリニック 医師
渡邉大洋(わたなべ ひろうみ)
治療等の内容/治療等の期間及び費用
・グリコピロニウムトシル酸塩水和物を使用する原発性腋窩多汗症治療薬です。(¥6,800/14枚〜)
・防已黄耆湯を服用する多汗症治療薬です。(まずは3か月以上の服用をお試しください。
定期3か月¥18,444〜(税込) )
・補中益気湯を服用する多汗症治療薬です。(まずは3か月以上の服用をお試しください。
3か月¥35,100〜(税込))
※効果が実感できるまでには継続的な服用が必要であり、その期間にも個人差がございます。
副作用
・ラピフォートワイプの主な副作用として、まぶしい、瞳孔(ひとみ)の拡大、眼がかすむ、眼が乾く、尿が出にくい、尿の回数が多い、口が乾く、肌のかぶれ、体温調節障害(発汗低下による熱中症リスク)などが報告されています。
・防已黄耆湯主のな副作用として、発疹、かゆみ、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、軟便、下痢、排尿障害などが報告されています。
・補中益気湯の主な副作用として、発疹、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などが報告されています。
お問い合わせ先
お問い合わせはmed.カスタマーサポートまで。